■筋機能訓練による叢生の改善例及び反対咬合

鳥山 栄(たんぽぽ小児歯科)

症例

(1) O.T.(H1.6.7生)♂ 1 叢生
トレーナーT4A使用。日常可能な限りの時間使用(本人いわく)。患者は小児期より現在に至る。
H20.9.20
H20.9.20
H20.12.25
H21. 3.13
H21. 3.13
H21. 5.22
H21. 5.22
H21. 12.28
(2) I.T.(H11.12.20生)♀ 上下前歯叢生
トレーナーT4KからトレーナーT4A。昼間1時間使用又は夜間も出来る限り使用。途中矯正より4本抜去の治療診断を受ける。
H19.12.27
H20.10.25
H21. 5.30
H22. 3.6
H22. 4.24
H22. 8.5
(3) M.R.(H14.5.19生)♀ 開咬
トレーナーT4K 昼間10分間 計6回 平均1時間
口唇閉鎖の意識下のもとで唾液は口を閉じたまま、溜まったら飲み込む事を常に行なうように指導。
H21.10.8
H21.10.8
H21.11.26
H22. 4.27
H22. 8.10
(4) T.W.(H19.3.13生)♂ 反対咬合
乳歯(3才)におけるCrown Form(CF)による反対咬合の改善(第2報) 日常の診療の線上にある治療で改善は簡単で急速な変化が得られる。
H22.8.2
初診時トレーニング
H22.8.6
11
H22.8.16
11
H22. 8.26

まとめ

筋機能訓練装置つまり口腔内コルセットの働きが、これほどまでに歯列の改善と矯正力を発揮する事に驚いた。口腔機能の最大の矯正力は正しい咀嚼と嚥下であり、これは神経系伝達と筋群の正しい機能に基づくものである。我々は、小児歯科という領域において、本来の咬合誘導はやはり母乳保育における正常な口腔機能獲得によるものだと確信しなければならない。口腔機能障害(悪習癖や嚥下障害)が歯列不正を誘発することは明らかであり、これらの装置による筋群の訓練により新たな改善を獲得出来る事は、小児歯科医としての立場を確立し、新たな臨床の幅を拡げることと思われる。

考察

まず、乳児嚥下という特有の機能を持つ乳児期の口腔内の構造は、成人とは異しているが将来同じ機能を有する事は歴然とした事実である。
第一に、この乳児嚥下は鼻で呼吸しながら乳汁を同様に摂取出来る。この事から口腔の機能は鼻の役割に障害を与えてはならないという事が言える。咀嚼嚥下の筋群と神経系は、この乳児嚥下が始まる出生前2〜3ヶ月より同時に構築され始める(乳児嚥下は2歳位で消失)。
例えば咽頭の形態は中咽頭がなく乳汁を気管と食道へと同時に送れるように作られ、加えて開咬や前突過蓋咬合に関与する口輪筋は口唇力が弱いと摂食嚥下の口腔期の働きを妨げる事につながる。特に舌運動は逆嚥下により叢生や下顎骨後退の引き金を生み出す。
次に舌骨筋群の運動は、嚥下の状態変化に対処する咽頭嚥下期に不可欠であり、乳首の位置的存在も重要であると思われる。特に乳児の口腔内前庭、軟硬蓋、頬の構造は特有である。さらに上顎切歯孔辺りに味覚、嗅覚、触覚という原始感覚が存在し、これらの正しい獲得が脳神経系の、特にメンタル面の発達に関与し脳の情緒的発育に重要である。
我々小児歯科医は口腔機能の獲得と食育、つまり母乳から始まる食育全般の対して、生命の維持という『食べなければ生きられない』という点で重要な役割を担っている訳である。結論として機能的変化をもたらす最大の障害と言える口呼吸は鼻呼吸障害を引き起こし口腔内にとどまらず耳鼻咽喉にも悪影響を及ぼしひいては様々な感染、病の引き金になってしまう。我々はこれを避ける為の治療にこれまで以上に力を注ぐべきなのである

2010.11.7 小児歯科学会 中国 四国地方会 ケースプレゼンテーション

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